2020年某日。行き交う人と車と部品。岐阜県庁新築工事の現場はごった返していた。このプロジェクトにはある特徴がある。一般的な案件では、工事を受注したゼネコンを元請けとして、1次下請け・2次下請けと連なっていく。それが今回はプロジェクト内に複数の元請がいる分離発注という形をとっていた。電気事業者は元請Aから、設備事業者は元請Bから、というように、1つのプロジェクトに複数のグループが存在する形である。そして、各グループが同時期に作業に取り掛かっていた。現場に人が多いのはそのせいだろう。
G.H.はそこにいた。そして、驚いていた。1週間後に始まる埋設工事の確認のため現場に顔を出していたのだが、内管工事の掘削作業(ガス管を通すための穴を掘ること)を予定していた地面の一部が、何枚もの鉄板によって覆われていたからだ。それは建築作業のための鉄板養生だった。養生の奥では建物の骨組みを組んでいるようだ。G.H.の目線の先では、追加の骨組みをトラックに積んだ作業員が、鉄板の上に駐車しようとしている。この養生、いつまでここに設置されているんだろうか…。最悪の事態を想定し、冷や汗をかいたのは言うまでもない。
監理士
業用2課
2008年入社